フィクション

移籍の舞台裏

「やあ」 「やあ。君は誰だ?」 「誰でもいいさ。少し話があるんだよ」 「私には無いね。悪戯なら切るぞ」 「今から練習かい?」 「そうだ。もう切るぞ。今日は怪我人が帰ってくるんでね」 「こないよ」 「何だって?」 「あんたの大事なディアビのことを言…

チェアマンは弾圧者

サポーターズ・クラブに呼び出された。わたしとて毎試合スタジアムに通う身であるから、もちろん彼らの顔は知っている。 大体いつもゴールの裏の、少し奥に迫ったところにいて、上着を脱いで叫んでいる連中だ。 自分から近寄りたいと思ったことは無いし、何…

ホームグロウン売ります

自国内で育成された選手の登録を義務付けたホーム・グロウン・ルールの施行で、今ビッグクラブには必要な若手選手が不足しているらしい。 チキ・ベギリスタインは、スコット・シンクレアの獲得が戦力としての期待よりもルールを満たすためのものだったことを…

トッテナム農法

近年導入されたホーム・グロウン・ルールは、世界中から選手を集めようとするプレミアリーグのビッグクラブにとって、補強戦略を揺るがしかねない大きな足かせとなっている。しかしトッテナム・ホットスパーの首脳陣にとっては、どこか別の星の問題のように…

星の王子ロングボールを蹴る

<あらすじ> スペインのとあるサッカークラブで何不自由ない生活を送るレオ。 顔なじみの仲間、美しいパス、自分のために誂えられた戦術・・・最高の環境で、レオはありとあらゆるタイトルを獲得し、ついにはこの星最高のサッカー選手として認められる。 し…

アナウンサー養成学校

W杯を観戦した多くの人々は、アナウンサーが一見して試合の展開に関係ないことを語るのに夢中になっていたことに気がついただろう。 これは決して偶然ではない。サッカー実況を担当する全てのアナウンサーは、今や養成所に入らなければマイクを握ることがで…

権力の代償

2022年のW杯開催地を決めるにあたり、カタール出身の理事からの賄賂に応じたとして、FIFAとその会長、ジョゼフ・ブラッターが(おそらく彼の任期中1万回目の)厳しい批判を浴びている。 とはいえ、この責をブラッターだけに求めることは間違いだ。 以前にも…

トテナム記

(1) デイビッドは家名をベントレーといい、博学才穎、西暦の2007年、若くして名を知られ、ついに英吉利代表に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところすこぶる厚く、貧乏クラブに甘んずるを潔しとしなかった。 いくばくもなくブラックバーンを退いたあと…

サッカー界の不都合な真実

2013-14シーズンのプレミアリーグはマンチェスター・シティの優勝で幕を閉じたが、ライバルとなる強豪チームのファンからは、「シティはホームゲームで審判に優遇されている」という批判が幾度となく噴出していた。確かにリヴァプール戦のオフサイド―― ラヒ…

ウィンター・トランスファー・ウィンドウ・チャンピオンシップ・クロニクル

イングリッシュ・プレミアリーグのボトム10のあいだで冬の移籍期間に行われる「的外れ補強選手権」は、ともすればビッグクラブの間だけの関心ごとでしかない優勝争いよりもはるかに熾烈で、エキサイティングなものとなっている。2014年のウィンター・トラン…

的外れ補強選手権

イングリッシュ・プレミアリーグのボトム10のあいだで冬の移籍期間に行われる「的外れ補強選手権」はともすればビッグ4の間だけの関心ごとでしかない優勝争いよりもはるかに熾烈で、エキサイティングなものとなっている。 2007/08シーズンはダービー・カウン…