マンチェスター界隈のアカデミーで起きていることについての報道まとめ


2014年12月8日、シティ・フットボール・アカデミー(CFA)の使用が開始された。面積は32万平方メートル(ディズニーシーよりやや小さいくらい)、ファーストチームの練習用ピッチが4面、育成年代のピッチが12面、7,000人収容のスタジアム(女子チームとユース用)、専用の学校、居住施設を兼ね備えている。
https://www.mcfc.co.uk/news/club-news/2014/december/city-football-academy-opens-announcement
http://toyokeizai.net/articles/-/60011



その3日後、Independentにポール・スコールズのコラムが掲載された。いくらか訳す。
http://www.independent.co.uk/sport/football/news-and-comment/paul-scholes-column-as-a-manchester-united-man-im-worried-that-manchester-city-have-moved-ahead-of-9919194.html
http://www.independent.co.uk/sport/football/news-and-comment/paul-scholes-column-as-a-manchester-united-man-im-worried-that-manchester-city-have-moved-ahead-of-9919194.html

  • 俺がガキの頃、マンチェスター・ユナイテッドからオファーを受けたとしたら、シティなんて選択肢にも入らなかった。ユナイテッドが勧誘なんてしなくとも、子供たちはみんなユナイテッドに入りたがったものだ。
  • 30年の時が過ぎ、状況は大きく変わった。それも、ユナイテッドファンとしては心配になる方向に。客観的に言って、シティがこれまで達成してきたことは素晴らしい(Impressive)と言わざるを得ないし、シティがマンチェスター界隈の育成シーンにもたらしたインパクトは、CFAのオープンに始まった話じゃない。
  • 育成プログラムに関してシティが急速に進歩していることは誰もが知っている。ユナイテッドの選手たちでさえ、息子をシティのアカデミーに入れているくらいだ。
  • 育成ってのは難しい。俺は幸運にも、愛するクラブのファーストチームで活躍することが出来たが、そんなことはめったに起こらない。もし£200m(だいたい368億円)かけたアカデミーからほんの一握りでもファーストチームでプレーする選手を輩出出来たら、シティは投資した価値があったと感じるだろうし、それは明らかに正しい。
  • ユナイテッドはどこよりも多くFAユースカップに勝っている。だが、今やシティの方が優れた育成プログラムを持っていて、近隣で良い選手を獲得できているのもシティだというのが、マンチェスターでのもっぱらの噂だ。
  • どうしてそんなことになったのか、これだってことは言えないが、原因は一つじゃない。プロ契約がデカい、というのは無視できない要因だ(※ほんとかいな)
  • また、コーチングもその1つだ。俺はやるべきことを自分で決められる選手を育てる方が好きだが、俺が聞いた話によると、シティの育成はもっと明確なシステム(※ここではフォーメーションに近いか)の中でプレーさせることに重点が置かれているらしい。U-18未満の試合結果は公表されていないが、俺が聞いた話ではユナイテッドとシティが対戦すると、勝つのはシティだという話だ。
  • 育成年代での勝利はそんなに大事なことじゃないって人もいるが、俺は反対の意見だ。どうやって試合に勝つかは、勝つことでしか学べない。ユナイテッド時代はU-16だろうがU-18だろうが、勝利を求められていた。勝つことが、ファーストチームに上がるための準備になるんだ。
  • ユナイテッドが最後にFAユースカップに勝ったのは2011年だ。そのときは、同じく素晴らしいユースチームを持っているチェルシーに負けた。心配なのは、ここ2年のユナイテッドがバーンリーと、ハダーズフィールドに負けていることだ。(※どちらも下部リーグ。ハダーズフィールドは2部から3部辺りを彷徨うチームである)
  • ユナイテッドは育成に関して素晴らしい歴史を持っている。問題は、今の若手選手が十分なレベルにあるかということだ。例えばパディ・マクネアやタイラー・ブラケットが昇格してきたのはけが人が続出したせいだし、果たして彼らはトップチームに残れるんだろうか?ジェイムズ・ウィルソンにはチャンスがあるように見えるが。
  • もっと大きな話をすると、シティは新しい練習場とアカデミーの施設を立ち上げた。ユナイテッドのキャリントンは素晴らしい練習場とアカデミーだが、シティのはレベルが違う。そういうことは、今の時代は大事だ。(※以降、“俺の若い頃は”の話なので端折る)

そして先週、Guardianのダニエル・テイラーがこんな記事を書いていた。長いのでちょこっと。(※訳し直し・追記)
Quietly, Manchester City are beating United at the generation game | Daniel Taylor | Football | The Guardian
http://www.theguardian.com/football/blog/2015/oct/24/manchester-city-united-youth-policy


  • ユナイテッドは躍起になって否定するだろうが、ローカルライバルのことを気にしているのは、シティでは無く、ユナイテッドの方だろう。そしてそれは、シティがスカッドに多大な投資をしてきたからだけでは無い。
  • 先月(9月)ユナイテッドとシティは様々な年代で対戦したが、1つの引き分けを除いてユナイテッドは全敗した。うち一つはU-14での0-9の大敗だ。シティのU-10とU-13は現在の国内王者で、U-15は開幕戦の前半だけでリヴァプールから6点を取り、U-16は開幕10試合で57点を取って全勝した。
  • すでに、シティは16歳-19歳までの年代で26人の代表選手を抱えている。うち14人はイングランド人で、アカデミーの選手の2/3は地元マンチェスターの出身だ。
  • 『Sons of United』(ユナイテッドのアカデミー記)の著者トニー・パークに言わせれば、(シティの新アカデミー施設は)「ユナイテッドのとは到底比べ物にならない」という。

面白いのは(向こうは面白くもなんともないだろうが)、シティの選手勧誘方針が「やりすぎ」ということでユナイテッドがリーグに不満を申し立て、シティとの対戦が行われないように要請したらしい、という報道があったことだ。「酸っぱい葡萄」という表現が使われている。


  • もちろん、現時点ではユナイテッドはシティの、そしてその他全てのクラブのはるか先を(育成の歴史について)行っている。シティのアカデミー出身者で最後にレギュラーになったマイカ・リチャーズがデビューしてから、先週の金曜日でちょうど10年が経つ。以降、27人がトップチームに昇格したが、彼らの先発機会を全て合計しても122回にしかならない。
  • だが、マンチェスターフットボール界隈では、ユナイテッドは育成に無関心になりつつあるのではないかという空気がある。RvPフレッチャー、フィル・ネヴィル、アンディ・コールは息子をシティのアカデミーに入れたし、今年の2月にアカデミーダイレクターのブライアン・マクレアが退職した際には、クラブは8か月前に退任の意思を知らされていたにも関わらず、後任を用意しなかった。


さて、最後の点についてはユナイテッドのファン側から見たコラムがある。
(別に、ダニエル・テイラーがシティ側なわけではないが。これがスチュアート・ブレナンだったりロブ・ポラードだったりしたら眉唾だ)
http://www.stretford-end.com/2015/09/uniteds-academy-whats-going-on/


  • 9月の代表戦ウィークで、ユナイテッドの選手はイングランドの年代別代表にほとんど招集されなかった。
  • ユナイテッドはもはや育成システムにおいてトップの地位にあるわけでは無くなってしまったのだろうか。
  • チェルシーとシティが良い例だ。チェルシーは育成に関する「10年プラン」をちょうど終えたところで、ユースに強くコミットしている。コーチの契約から、施設、スカウティング、勧誘プロセスに至るまで、明確なプランが実行されてきた。結果はUEFAユースリーグ(※ユース年代のCLに対応する大会)の優勝だ。彼らにとって次のチャレンジは、ファーストチームに継続的に選手を供給していくことになる。
  • シティも同じように、計画を進めつつある。彼らは勧誘に特に重点を置いており、U-13のレベルですら、国内最高のタレントを揃えている。そして、傑出しているのが新施設、CFAだ。今やシティは若い選手たちがその才能をフルに発揮するための施設を揃えていて、ユナイテッドは嫉妬するしかない。
  • 他のチームが大きく前進しているのに対し、ユナイテッドは最大限良く言って、停滞している。マクレアの後任はまだ用意されていない。
  • モイーズ自身は明らかにしていないが、(ユナイテッドの監督時代)アカデミーの状態に驚き、大改革を求めたと言われている。ユナイテッドはどこで出遅れたのだろうか?
  • 表面的には、事態はそれほど悪くない。ユナイテッドのU-21は昨シーズン、ここ4年で3回目の優勝を達成したし、U-18チームには才能ある選手が揃っている。
  • 彼らのほとんどはイングランドの年代別代表に呼ばれていないが、これは不可解だ。もっと呼ばれてしかるべき。
  • シティに9-0で敗れたことばかりが報道されるが、主力は別の大会で不在で、負けたのはほとんど1つ下の年代だ。主力が揃った時のシティとの試合では、結果は0-0だった。
  • だが、懸念すべき兆候はある。1つ目はユナイテッドの選手たちが、自分の子供をシティのアカデミーに入れていること。2つ目は誰が所属しているのかが明確でないということだ。例えば、ヴァニヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチは2019年までの契約を結んだが、クラブのウェブサイトには影も形もないし、先だってリーグに提出された登録選手リストにも名前がない。
  • 3つ目と4つ目は、選手の勧誘と意思決定だ。
  • 2年連続で、U-18チームが縮小された。選手が足りなくなってしまうため、ユナイテッドはローン移籍のオファーを断っているという。ローン先で経験を積めるはずが、その可能性を自ら遮断してしまっているのだ。
  • マンチェスター近隣でも、その先でも、ユナイテッドの勧誘プロセスには問題がある。ノースウェストでの選手勧誘は常にエヴァートンリヴァプール、シティとの競争にさらされているが、ユナイテッドは劣勢だ。(※テイラーの記事で、シティはSt Bede’s Collegeというそこそこレベルが高いグラマースクールと提携しており、それが選手勧誘に役だっているとの記述があった)
  • 4つ目の意思決定については、ある代理人の言葉を借りれば「ぐちゃぐちゃだ。1つ決定するのに、6人のコーチを経由しなければならない」。6人かけてもなお、正しい結論が出るとは限らない。あるU-18の選手は昨シーズン、今期限りでクビと言い渡されたが、その決定に関わっていなかったコーチは驚き、決定を覆させた。

最後のは日本の銀行みたいな話だが、とにかく早く建て直しが必要だ、と言う話だった。


(以下追記)
で、ここで紹介しているようにガーディアンやらマンチェスター・イブニングやらメールやらがこぞって「マンチェスター・ユナイテッドの育成が危ないぞ」と叫び出しているので、反論記事が無いかと思ったのだが、ちょっと見つけられなかった。まあ、ファンフォーラムとかにはあるのかもしれないが。
「金ばらまいたって、優勝できるわけじゃないんだぞ!!」とどこかで聞いたような話をシュマイケル父がファンハールに対して言っている、という記事はあった。
Manchester United must develop more youngsters! Schmeichel delivers strong warning | Daily Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/sport/football/article-3197432/Manchester-United-develop-youngsters-splashing-cash-doesn-t-guarantee-trophies-Peter-Schmeichel-delivers-strong-warning-Louis-van-Gaal.html



上にも訳したように、事実としてはユナイテッドのU-21は現状強い。U-18に才能ある選手がいるというのも事実なのだろう。
歴史的にアカデミー育ちをファーストチームに組み入れることに積極的なクラブだから、今後もしばらくはトップの試合に出場する選手が見られると思われる。問題は中長期的にどうなるかだ。


後の方にも書くが、トップチームが強いほどアカデミー育ちの選手をトップに組み入れることは難しくなる。
チェルシーの下部組織は2000年代後半から強かったが、ブルマ、ファン・アーンホルト、ウッズ、カクタ、ヌーブレ、マッケクランといった選手たちは、結局トップに定着できなかった。
これは取りも直さずこれまでユナイテッドの育成組織が以下に優れた選手を輩出してきたか、そしていかにトップチームで積極的に使っていく勇気と余裕があったかを示しているが、それも今後は危うくなるのかもしれない。



ユナイテッドの現状について、またアーセナルリヴァプールについても書かれたコラムがESPNにあった。
Manchester United youth development Andy Mitten - ESPN FC
http://www.espnfc.com/barclays-premier-league/23/blog/post/2511300/manchester-united-youth-development-andy-mitten


  • ユナイテッドのアカデミーは偉大な歴史をもってほにゃほにゃ。数字上も、ユナイテッドおは試合に臨むメンバー(ベンチ含む)にアカデミー育ちの選手を最低1人は入れる、という記録を3,740試合に渡って続けてきた。第二次世界大戦の終わりにまでさかのぼる歴史だ。しかし、状況は変わりつつある。才能を獲得するための競争は激化し、優れた選手に対して、ユナイテッドはかつてほど魅力的では無くなっている。
  • ファンハールはコーチ陣の刷新を求めており、ユナイテッドはかつての求心力を取り戻したいところだが、構造的な変革が無い限り道のりは厳しいだろう。ましてや、監督自身が3年だけしかいないと言われているのだ。
  • マクレアの後任はまだ決まっていないが、内部情報では多くの会議と、トップクラブでの「エリート・プレイヤー・パフォーマンス・プラン」に関する規定を満たすための大量の事務処理が行われているという。
  • 両クラブに通じる情報筋によれば(※なんじゃそら)、「これはシティにとってまだ始まりに過ぎない」。「今の時点では両クラブが抱えている選手の質に大きな差は無いが、それも変わり得る。シティはどの年代にもフルタイムのコーチを2人ずつ付けている。ユナイテッドはパートタイムだ。優秀なのもいるが、そうでないのもいる。トレーニング施設の設備はシティが優ってる。全て囲いがあるし、投光照明もある。」とのことだ。
  • ユナイテッドはファーストチームにこそ照明があるが、ユースの方は吹きっ晒しの環境で練習している。
  • 今や、マンチェスターで最も才能ある子供のほとんどは、シティが獲得している。最近では、11歳の子供がユナイテッドからシティに移籍した。彼は既に同年代でベストの選手で、ユナイテッドの環境に不満を持っていなかったが、彼の兄がユナイテッドから放出されたことを両親が不満に思い、兄弟まとめてシティに移籍させたのだ。

勧誘プロセスについて、もう少し細かい話がある。果たして、これまでこういったことに手がついていなかったのだとすれば、結局みんな育成なんて重視していなかったんじゃないの?という気もする。


  • 情報通(※あの、、、)は明かす。「ユナイテッドは現状に満足してしまっている。彼らは、バスビー・ベイブスや92年組、それに最近もウェルベックのような地元の最高のタレントを獲得してきた偉大なユナイテッドだから、(放っておいても)選手が来ると思っているんだ。実際は他のクラブが進歩している間に、ユナイテッドは立ち止まったまま。シティに限って言えば。ユナイテッドを追い越してしまった」
  • シティは若い選手に(ユナイテッドよりも)良いパッケージを用意できる。親に金銭面の勧誘もできる。単にマイルとか、スパイクとか、ユニフォームだけではなくてだ。
  • シティの若い選手たちは練習だけでなく、質の良い私立学校で勉強も一緒に受けさせてもらえる。反対に、ユナイテッドの選手は、選ばれた数人だけ(ほとんどはマンチェスターの外から来ている選手だ)が、練習場の近くの無料学校に行ける(※”non-fee paying school)は、クラブ側が金を払わなくても通えるような程度の学校、という意味だと思う。多分、UKの子供の93%が行くという、税金で運営されているような学校)。ユナイテッドも学校とキャリントンへの居住施設建設を話し合っているが、まだ先の話だ。
  • 「もし自分がモス・サイド(シティのかつてのホーム、メイン・ロードに近い労働者階級の町)に住んでるシングルマザーだったらと考えてみてくれ。」「どちらもクラブもあなたの息子を欲しがったが、シティは、マンチェスターでも最高の学校の1つで教育を受けさせてくれる。もし息子がクビになってもそのまま通える。もしユナイテッドに入った場合、息子は今の学校のままだ。シティは親に金も払える。ユナイテッドがくれるのはたかが交通費の実費清算だ。」

どうせ、ほとんどの子供はプロにはなれない。であれば、親にとってはより質の高い教育をオファーされることは、相当な誘因になりそうだ。


  • 選手の年齢が上がっていくほど、金がモノを言う。現在、ユナイテッドのU-18でプレーする選手の中でも有力な3人が、他のクラブからより良い内容の契約で勧誘されている。1つはリヴァプールだ。もし彼らがユナイテッドを離れても、何の不思議もないだろう。

ファーガソンはアカデミーの方にも大分影響力があったと聞くが、彼のやり方自体が時代遅れになっていたのではないか、という指摘がある。


  • 金が全てでは無い部分も確かにある。ファーガソンは若い選手に「辛抱しろ、そうすれば見返りがあるから」と言うだろう。正しい面もあるが、数字上は1年に1人ファーストチームに上がれれば良い方だ。リザーブの選手に週給1,000£(※プレミアでは、はした金)しか払っていなければ、そりゃファーガソンはハッピーだろうが、選手にしてみればどうだろうか。
  • 他のクラブのように資金を投じていないからか――アーセナルは14歳の選手を獲得するために、イプスウィッチに10万ポンド(約1,850万円)を支払った――、シティに負けているからか、とにかくユナイテッドはかつてのように才能ある選手を獲得できていない。一方、実はユナイテッドのファンだった、あるシティのコーチはユナイテッドでの仕事に興味を持っていたが、それも給与の条件を見るまでの話だった。




シティの話に戻ると、施設だけではなく、人材の強化も始まっているようだ。アカデミー統括のマーク・アレンはメディア業界の人間(元MTV)だが、コーチ陣のトップであるテクニカル・ダイレクターは、元リヴァプールのロドルフォ・ボレル。ベニテス時代にリヴァプールのU-18監督、後にはリザーブチームの監督と、アカデミーのコーチ陣の責任者を務めた人物である。以下、リヴァプール関連のWikiの記載を借りよう。
http://liverpoolfc.wikia.com/wiki/Rodolfo_Borrell
http://www.dailymail.co.uk/sport/football/article-2579649/Manchester-City-appoint-former-Barcelona-Liverpool-coach-Rodolfo-Borrell-Global-Technical-Director.html

  • ボレルは元々バルセロナのコーチで、2009年にリヴァプールにやってきた。ファウラー、マクマナマンオーウェン、ジェラード、キャラガーらを生み出した後、主力選手を生み出せなくなっていたアカデミーに対し、ベニテスが改革を求めたことが背景にある。
  • ボレルが育てた選手には、スターリング、フラナガン、ロビンソンらがいる。
  • ※メールの記事によれば、メッシやセスクも教えた、らしい。


ちなみにシティの育成チームを見ると、勧誘・獲得の責任者はウィガンでプレーした元ウェールズ代表のニール・ロバーツ(大昔のウイニングイレブンにいた気がする)、U-18の監督はブラックバーンやリーズで活躍したジェイソン・ウィルコックス、U-16の監督はこれまたウェールズ人のギャレス・テイラーが務めている。



(※追記終わり)



シティの今後の課題は(チェルシーがロフタス=チークで試しているように)、育てた選手をトップチームに引き上げられるかという点になる。U-21以下の年代に才能ある選手を揃え、最高の環境で育てることと、育てた選手をトップチームに入れることは別の問題である。前も書いたが、それができないことの問題は、まず1つは選手獲得の費用が余計にかかるということだ。
控えの選手ですら£30mかかるご時世、ユース上がりの選手でそれが賄えれば、浮いた分を本当の、自クラブからはなかなか育てられないトップタレントに充てることができる。


他には、よく言われるような「クラブのフィロソフィを理解している」「忠誠心がある」選手を輩出でき、ファンとクラブの一体感が高まるということなのだが、最後のは大事にせよ、最初の2つは正直よくわからない。まあ、そりゃそうなんだろうけど、みたいな。ただ何にせよ、輩出できたほうが良いに越したことは無い。





トップチームが強いほど、ユース上がりの選手がトップに定着するのは難しくなる。フランク・ランパードは「もし僕が今17歳だったら、チェルシーやシティのトップチームに上がるなんて到底無理だっただろうね」と発言している。
「もし自分の息子だったら、恐らくまずはチェルシーに入れて、8歳から15歳まで最高の教育を受けさせる。そして可能なら、そのあとは息子をもっと資源が無い、18歳でトップチームに定着できるようなクラブに移すよ」とも。
http://www.manchestereveningnews.co.uk/sport/football/football-news/lampard-reveals-fears-england-youngsters-7729888#ICID=sharebar_twitter



今の選手たちがトップチームに定着できなくとも、チェルシーとシティは金銭的に余裕がある限り、今の運営方針を続けると思われる。
最高の選手にできるだけ多くツバを付けておき、18歳になったらローンに出せばいい。彼らのうち1人2人でも戦力になれば儲けものだし、ならなければ売ればいい。
見込がありそうなら、買い戻し条項も付けられる。育成費用はFFPの対象から控除できる。止めるインセンティブは無い。



とはいえ、シティが(経営陣が言うように)世界的な人気クラブを目指すのであれば、自前で育てた選手をトップチームに組み入れていくことについて早めに取り組まなければならないと思われる。