ストライカーの売買と評価に関する小話(2)

さて、続編は個別のストライカーのディール(今回は獲得のみ)に対する評価である。
あの移籍は当たりだった、いや外れだった、と議論するのに何か尺度がほしいので、データをさっくり集めてみた。
基本的には、前編と同じく、「獲得時にかかったコスト」に対するリターン(ゴール)でコストパフォーマンスを見ようという話である。



問題になるのは、コストパフォーマンスだけで評価していいのか?という点。
コストパフォーマンスは相対的な指標なので、獲得金額が安ければ当然、金額当たりの得点数は多くなる。
例えばデライアス・ヴァッセルは£2Mで獲得され、シティ在籍中に22点獲ったので£1M当たり11点だが、セルヒオ・アグエロは£39.6Mで75点なので、£1M当たり1.9点だ。
ヴァッセルのコストパフォーマンスはなんとアグエロの約6倍。ヴァッセルの方が良いディールでしたね。いやいやちょっと待て。



そこで、絶対的な指標として「在籍中の1シーズン当たりの平均得点数」も併せて用いる。
移籍金がいくらかかろうが、得点がチームの勝利に与えた影響は同じだからである
。移籍金フリーで獲得しようが、£100Mで獲得しようが、10点決めてくれたことには変わりはない。
いくらかかろうが1シーズン20点とれば「まあまあクオリティとしては良い選手だった」と言って良かろうし、タダでも1シーズン2点しか取らなければ良いFWだったとは評価し難いであろう。



重要なのは「£1M当たり何点取っていればコストパフォーマンスが良かったと言えるのか」「1シーズン当たり何点取っていれば絶対的に良いストライカーだったと言えるのか」である。
前者は対象6クラブの全ディールについて平均を取れば相対的な指標としては済む話だが、後者は議論のあるところである。ひとまず案としては以下の通り。





縦軸が件の「1シーズン当たり何点取っていれば絶対的に良いストライカーだったと言えるのか」だが、ここでは5点、15点、25点を1つの基準としたい
カップ戦等全てのコンペティションを含めての得点数が対象なので、リーグ戦に限ればそれぞれ4,5点引くイメージ。
まず5点以下はリーグ戦でほとんど点が取れていないということであり、いくらで買おうがビッグクラブのFWとしては失格であろう。
15点はリーグ戦で二桁行くか行かないかというところで、安ければまあなんとか許せる、高ければ相当に損した感があるくらいの水準ではなかろうか。
16点〜25点(リーグ戦で15〜20点前後)は移籍金がいくらかかろうがまあまあ許せる範囲内で、25点を超えれば毎シーズン得点王が狙えるレベルなので、十分評価できる水準だろう。



コストパフォーマンスの軸と組み合わせた各セグメント(色のついた円)はそれぞれ以下のような評価である。


(1)ドブ:コストパフォーマンスは平均以下、シーズン平均5点以下。高いわ点は取れないわで、ディールとしては踏んだり蹴ったりである。
ドブに捨てたと見て宜しい。(売却で回収できる場合もあるのだが、今回はややこしくなるので置いておく)


(2)もったいない:平均得点は15点以下(リーグ戦で二桁行くか行かないか)で、コストパフォーマンスは悪いグループ。
そこそこ金を出したのにさほど点を積み重ねてくれず、かつシーズン平均でもその程度では、もっと他の買い物があったのではないかと思われる。
ここまでは失敗したディールと位置付けるべきグループ(赤い円)。



(3)安かろう悪かろう:平均得点は15点以下(リーグ戦で二桁行くか行かないか)だが、コストパフォーマンスは平均より良かったグループ。
すなわちあんまり点取ってないけど安かった選手である。


(4)ぜいたく品:15~20点取っているのでストライカーとしては純粋に有能なのだが、いかんせんコストパフォーマンスは悪かったグループ。やや割高感がある。
評価が分かれるのがこの(3)(4)(緑の円)で、予算が相対的に少ないクラブなら費用なりの活躍はする前者はあり、反対に金はあるからとにかく早く成績を求めるというなら後者はあり。となるのであろう。




(5)値段には理由がある:理由と書いてわけと読む。夜露死苦
相当高かったのでまだコスパが平均を上回るほど(通算で)得点していないが、毎シーズン25点以上は取るということで、値段は張ったが戦力的には大きなプラスであったと言えよう。


(6)世紀のバーゲン:コスパが良い上にめちゃめちゃ点取ったグループ。安値で買ってきて初年度から大爆発するというおとぎ話か、値段は張ったが複数年に渡って相当の得点を積み上げ続けた人たちが位置する。この(5)(6)(青い円)は、ディールとしては成功だったと言って良いと思われる。




で、さっそくかつての(すいませんね)ビッグ4にシティ、トッテナムを加えた6クラブの各選手をプロットしてみたのが下の図。
対象は前編と同じく、基準を揃えるために、シティがアブダビ化した2008/09以降である。なお、話がめんどくさくなるので移籍金フリーの選手は外している。


はい




解説は時間が無いのでまた後日。