W杯に関係ない人たちを見てみようシリーズ その1 スコットランド


昔サッカー関係の会社でバイトしていたときはマッチレポートの1つや2つも書いたものだが、今やしがない会社勤めの身。もはやW杯について僕が語ることなど何もない。しからば、W杯に関係ないチームの話でもしようではないか。
第1回はフランスW杯以来大きな大会に出ていないスコットランドである。EURO2004のときはプレーオフまで進出し、そのときマザウェルで売り出し中だった(あれ、もうそのときはエバートンにいたんだっけか)ジェイムズ・マクファデンのゴールでオランダ相手の1stレグに勝利、こりゃーいけるぜ古豪復活だ、と思ったのもつかの間、2ndレグではふっつーに6-0でボコられたのが懐かしいが、あれがビッグトーナメントにもっとも迫った瞬間だっただろうか。今や北アイルランドと並んで、英国4協会最弱の座を争うようになってしまった。


直近のW杯予選は、なんとなんとクロアチアに2戦2勝。いったい何があったのだ。でもそれ以外はマケドニアに勝つのが精いっぱいで、プレーオフ圏内からは遥か離れたグループ4位に終わっている。




【最近のメンバー】


■GK:マット・ジルクス、キャミー・ベル、デイヴィッド・マーシャル、アラン・マクレガー

かつて英国1高価なGKだったクレイグ・ゴードンが度重なる怪我のせいでトップレベルから遠ざかってしまったのが悔やまれるが、なかなか今のメンバーも悪くない。マーシャルは今シーズンのカーディフで孤軍奮闘ともいえる働きを見せたし、マクレガーも経験のあるそれなりのGK。ジルクスは技術的には大したことないが、ブラックプールがプレミアで戦っていた時には、ビッグセーブ連発でチームの躍進に貢献していた(結局降格したけどね)








■DF:クリストフ・ベラ、クレイグ・フォーサイス、ゴードン・グリア、グラント・ハンリー、アラン・ハットン、チャーリー・ムルグルー、マーク・レイノルズ、アンドリュー・ロバートソン、スティーヴン・ウィテカー(その他:コルドウェル弟、バーズリー、マーティン、ウォレス、ウェブスター)

き、厳しい。これは厳しい。かつてはインテルが身分照会を行ったという栄光の経歴とスカポンタンなディフェンスで知られたクリスティアン・デイリーとか、アホみたいに背が高いウィルキーとかそこそこの選手がいたが、明確にプレミアでやっていけそうな選手がほぼいない。強いて言えばハットンくらいか。でももう賞味期限切れてるしなあ。おそらくメンツ的にリーダーとなれそうなのはクリストフ・ベラだが、この人も典型的スコットランド人CBというか、とにかく変化球にはバットが当たらないタイプである。しかも新世代を担うと目されたダニー・ウイルソンが、リヴァプールでさっぱり試合に出れず結局放出。移籍したハーツでも2部降格。先が見えない感じである。






■MF:イケチ・アニヤ、バリー・バナン、ジョージ・ボイド、スコット・ブラウン、クレイグ・ブライソン、クリス・バーク、ショーン・マローニー、ジェイムズ・モリソン、ピーター・ポウレット(その他:ドランズ、フレッチャー、マッカーサー、アダム、フォレスト、スノドグラス、マット・フィリップス)


おそらく一番の強みと言えるパートではなかろうか。直近で呼ばれたメンツはしょっぽいが、その他にはWBAのテクニシャンドランズ、ご存知マンUフレッチャー、チンピラQBのアダム、ごり押しペネトレーションが売りのスノドグラス、それに長い距離をドリブルで稼げるフィリップスがいて、皆プレミアレベルでも自分の武器を発揮できるメンツである。ちなみにスコット・ブラウンセルティック中村俊輔と一緒にプレーしていたMFで、アホみたいな運動量、そこそこのスピード、ゴール前への飛び出し、荒っぽいタックル、今二つ足りないボールスキルと、英国式Box-to-Boxの例として教科書に載せたいくらいの選手である。この中で一番才能が豊かと思われるのはバリー・バナンだが、どうにも伸び悩んでいる印象。僕が最初に彼の名前を覚えたのは4,5年前のフラム戦で、左サイドの深いところでボールを受けて反転すると、ゴール前右サイドに気合い一発のロングパスを通し、オルブライトンのゴールをアシストして見せた。そのジェイク・デローム(アメフトのQBね)を思わせるようなヤケクソ気味のロングパスに僕は惚れてしまったのだが、なかなか日の目を見ることがないようである。






■FW:リー・グリフィス、クリス・マーティン、ロス・マコーマック、スティーヴン・ネイスミス(その他:フレッチャー、ボイド、ローズ、マッキー、ミラー)




フレッチャーーーーーーーなんとかしてくれーーーーーーー!!!!!

という感じが漂う。いや、プレミアで安定して10点取れるフレッチャーと、エバートンでレギュラーを張るネイスミスというコンビは悪くないのだが、組織に活かしてもらってなんぼなんだよねえ、この2人。他の面子を見てみると、グリフィスは得点パターンが多く、エリア内で強い“Fox in the box”タイプで、マコーマックはリーズで点取りまくってる。マッキーはシティファンにはおなじみ、あのQPR戦で2点目を決めよった、根性が入ったウイング型ストライカーである。でもまあ、全員2部レベル。





ストラカンが監督をするということだが、どうかね。守備はそこそこ仕込めるし、攻撃でも英国基準で工夫はする方だが、どうにもタレントが足りなさすぎる。ラムジー、ベイル、アレンと一線級の選手が出てきたウェールズと比べると、水に水足しても水と言うか、100の雑兵1人の英雄に如かずという感じである。若手も、セルティックのフォレストくらいしか目ぼしいのがいない。2010年代もW杯は遠そうである。