サッカーと放映権ビジネス

サッカークラブの主要な資金源である放映権料について、ニュースになる機会が少ないので取り上げてみる。



ブラックバーンがヴェンキーズというインドの家禽飼料メーカーに買収されるらしい。
http://www.independent.co.uk/sport/football/premier-league/indian-poultry-farmers-close-to-16346m-takeover-of-blackburn-2117172.html


よくある「外人オーナーのマネーで買い物し放題なう」というシナリオかと思ったら、Skyによれば、ヴェンキーズは5Mまでしか補強には出さないと言っているらしい。なんとも景気の悪い話である。






本題は、この買収をヴェンキーズとともに手掛けたスイスのスポーツ・エージェンシー、ケンタロー社について。サッカーにとって、テレビの放映権料は重要な資金源の一つだ。クラブや代表チームはケンタローのようなエージェンシーに放映権を売却し、エージェンシーが各テレビ局に放映権を分配する。監査法人デロイトが毎年出している涙が出るほどありがたい資料である『Football Money League』を見てみると、放映権料がいかにサッカー界を支えているかがわかる。


これは2007/08シーズンのレアル・マドリーのもの。「Matchday」は試合のチケット収入、「Commercial」はスポンサー収入、グッズの売り上げなど。スタジアムを自前で持っている場合には、ホスピタリティ、ケータリング、スタジアムツアーから入ってくる収入もここに数えられる。そして「Broadcasting」が放映権料だ。

マドリーでは、収入全体の37%が放映権料から。リヴァプールでは実に46%にも達している。ケンタローは今後ブラックバーンの試合をインド市場に売り込んでいくのだろう。






ケンタローのもう一つのコアビジネスが、クラブ・選手のタレントマネジメント。ケンタローは英Sports Entertainment and Media社(以下)と提携ししている。SEMユヴェントスバルセロナチェルシーアーセナルマンチェスター・シティといった有名クラブやティエリ・アンリリオ・ファーディナンドを顧客に持っている、いわゆる“代理人”の会社だ。

ケンタローはブラックバーンの選手をインド市場で売り出したり、逆にインドの選手をブラックバーンに入団させたりしていくと思われる。